朝っぱらから集団デモ

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「おはようございます！」
デモ主催者の威勢のよい挨拶は、まだ目覚めきってはいないデモ参加者たちの萎れた覇気の前では、彼らのもとに届くうちにその威勢を失っていくようなちぐはぐさを感じさせるものだった。



デモ参加者のほとんどが寝ていなかった。徹夜のものもいれば、わずかな仮眠をとっただけのもの、数時間ほどのおよそ睡眠と呼ぶには短すぎる眠りをとったものが半数以上を占めており、満足な睡眠をとっていたと思われるデモ参加者は数えるほどしかいなかった。
とはいえ、一人一人の睡眠時間を聞いて回ったわけではないから、もしかすると、なかには、12時間睡眠をとったようなロングスリーパーも一人くらいはデモ参加者のなかに紛れ込んでいたかもしれない。



主催者はどうだったのだろうか。デモの申請から準備、そして実行にいたるまで、先頭に立って動かなければならないデモの主催者に、満足な睡眠時間があったとは思えない。しかし、彼の朝の挨拶は、長時間睡眠をとって充分に鋭気を養ったもののそれだ。
強い精神力によって、一睡もしていないかもしれない主催者があのように大声の気持ちの良い挨拶をしたというのであれば、私達デモ参加者はデモ主催者である彼の挨拶を通して、彼の精神力にただただ圧倒されるのみであろう。



なんにせよ、デモは声の大きさが命なのである。私達デモ参加者は、彼のようなデモ主催者を持つことができただけでも、幸福なデモ参加者であったといえよう。
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